がん情報の正しい選び方
世の中に溢れる健康情報のうち、何が本当でニセモノなのか?
「○○を食べるだけでがんが良くなる」「医者も驚愕……」などとあったら注意が必要だと思います。
がん情報には信憑性の高いものもあれば、逆に危険な誤った情報も溢れています。
「がんに効く水」と謳ったヨウ素入りの水を販売した経営者が逮捕された事件は記憶に新しいですが、尿一滴でがんが判明するという線虫を使ったがん検査も現段階ではあてにならないようです。
実際、医師の方の次のような記事もあります。
現状、線虫がん検査は有効性を検証する段階であり、強く推奨できるものではありません。
・陽性となった時に精密検査、治療を行った結果、本当にがんによる「死亡率」は低下するのか? 結局発見する数が多くなっただけで死亡率は変わっていないのではないか?
・がん検診を行って陽性となった人たちに侵襲的な精密検査を行った結果起こる合併症と天秤にかけた時、本当にメリットの方が上回るのか?
「検査によって利益が得られる」という明確なエビデンスがまだ出ていません。
1990年代に登場した前立腺がんのがん検診として用いられる「PSA検診」でも上記のような議論が行われており、未だ有効性が議論されている状態です。
いわんや見切り発車で繰り出された線虫がん検査は、多くの方に推奨するにはまだ早すぎるのです。
(引用元:尿一滴でがんが判明!?線虫がん検査の「意外すぎるデメリット」とは?【書籍オンライン編集部セレクション】
森勇磨 健康 40歳からの予防医学 )
がんと聞くと不安になりますが、精度の低い民間の検査キットで初期のがんを見逃したら、大変なことになります。
また、「量子」や「波動」という言葉にも慎重に対応する必要があります。体の臓器には特有の波動が存在し、それが乱れることで病気になるとされるのが量子波動治療や波動医学です。ただし、これらの概念は物理学の波動とは無関係であり、科学的な根拠に欠ける場合があります。
インターネットが普及した現在は、さまざまな健康情報が溢れていますが、どれが本当でどれが間違っているのか、素人にはなかなかわかりません。しかも、常識だと思っていたことが、ある日、180度変わることもあります。
例えば、肉はコレステロールが高いから良くないと言われていましたが、現在は免疫機能を支えるタンパク源として不可欠です。
がん情報を選ぶ際には、エビデンスと検証が欠かせません。急速に広がる新しい検査法や情報には慎重な選択が必要であり、医師の専門的な意見や既存の検査法の結果も参考にしましょう。